[御布施]
 葬儀・法事・結婚式……。お寺さんに仏事をおつとめしていただいたときは、「御布施」をさせていただきます。
 寺院にお渡しするのは、慣例的に「御布施」「御膳料」「お車料」などです。
 表書は封の上に「御布施」「御車料」「御膳料」と書き、下に施主の名前を書きます。
 葬儀など、儀式が短期間に集中する時は、右肩に導師・副導師・通夜式等添え書きをしたり、一括してお渡しすることもあります。
 月忌参り、その他の日常的な法要は、「御布施」だけでもよいのですが、
遠方より来ていただく時には、「お車料」を用意するか、一緒にその分を入れさせてもらう配慮が必要でしょう。
 「御布施」は僧侶の労働報酬ではありませんので、
表書きに「御経料」「回向料」「供養料」「御経志」「薄謝」等の書き方はいたしません。
 袋や封は、市販のものでも、手製のものでも構いません。一般的に用いられている金封には、熨斗が袋の右肩についています。
しかし熨斗は仏教のものでは本来ありませんので、ついていないものを選ぶなど、心したものです。
 水引について、特に定めはありません。それぞれの地域でさまざまですが、
世間の習慣では、葬儀は黒・白、または黒・銀、慶事は紅・白、または金・銀、年忌(回)法要は黒・白、または黄・白などが多いようです。
 水引のない封を使用しても、何ら問題はありませんので、さほど神経質になる必要はありません。
もし迷ったなら住職に相談するのが一番よいでしょう。
 御布施は先にいったように、僧侶への報酬ではなく、お寺の御本尊である、阿弥陀さまへの「御供え」というのが本来の意味です。
 ですから金額を裏や中に書く必要はありませんし、相場などはあり得ないのです。
 法要の前に寺院に出向き、如来さまに御供えしていただくのが、本来のすがたです。
最近は省略され、法要終了後、その場で出されることが増えました。
その際には「おこと付けして申し訳ありませんが」とか、「失礼ですが、お預けいたします」と言う言葉を添えてお預けされればよいでしょう。
如来さまへの「お供え」という心を決して忘れないようにしていただきたいものです。
 僧侶に差し出すものは、基本的に「御布施」ですが、地域によっては、「御鉢米(おはちまい)」といって、
御仏飯用のお米またはそれにかわる金額を差し出すことがあります。この場合の表書きは、
「御鉢米」または「御供」で特に差し支えありません。ちなみに当報徳寺では「御鉢米」を「お初穂」といっています。
 また、歳暮・中元・御年賀などは、「お歳暮」「御中元」「御年賀」と上書きされても、別段問題はありません。
 ご門徒さん宅で、ご法座を開かれ、僧侶に講師をお願いされた時には、「御法礼」「御布施」どちらでもよいでしょう。
元来「布施」とは、仏道修行の一つで、とらわれる心を離れ、
自己への執着を捨てるための実践行であります。
 「布施」とは、梵語「ダーナ」の訳語であり、「施しをする」「施し与える」という意味です。
換言すれば、自分以外の人に、自分のものを分け与えていく行為ということです。
 金銭に限らず、やさしい声をかけたり、笑顔で人に接したりすることも「布施」とされます。
 「御布施」には、大別して次の三つがあります。
(1)法施
  法を施すこと。法とは仏法のことです。人間が生きる上でもっとも大切な、
この人生をいかに生きるかという問題を解決する教えであり、精一杯力を出し切り、安心して毎日を生きる支えとなる仏法を施すこと。
 また、人びとと共にみ教えを味わうことも、「法施」といいます。
(2)財施
 お金や物によって施しをすること。寺院や仏法を伝える道場として機能できるように、金銭だけでなく物心両面で支えること。
ですから、僧侶への労働報酬ではなく阿弥陀如来さまに「お供え」をさせていただくのです。
 また、困っている人に、物心両面で援助させていただくことも、「財施」といいます。
(3)無畏施
 身や心に怖れを懐く人をいやし、慰めを与え、その畏怖(いふ)をとり除くこと。

 仏事における「御布施」の習慣は、仏法をよろこぶ心を共にさせていただき、
不断は仏法に反する生き方ばかりしている自分を反省させていただいているものと、考えてよいでしょう。

 したがって、できる範囲で、心一杯のことをされるのがよいと思います。
阿弥陀如来さまにお供えさせていただくということを、何よりも大切にしていただきたいものです。

[お供え] 
 葬儀・法事・結婚式・入仏式・建碑式・報恩講などの仏事に参列する場合、お供えをします。通常一所帯に付き、一つお供えします。
 特に縁の深い場合には、生花・果物・菓子等と共にお供えをすることもありますし、物品だけの場合もあります。
 表書きは、封の上に、「御仏前」「御香資」「御香典」「御供」のいずれかを書き、下に名前を書きます。
 浄土真宗では、「御霊前」は用いません。

 「御香資」「御香典」は、それぞれが仏さまの「お供え」に「香」を持参していたのが本来でしたので、
お香を供える習慣の名残が、表書きに残っております。
 結婚式・入仏式・建碑式・初参式などの慶事には、封の上に「御祝」と書き、下に名前を書きます。
これも仏さまへのお供えですから、「御仏前」でも構いません。特に喜びの心を表現したいなら、「慶讃」というのもよいと思います。
 事務的な処理のことを考えると、袋の中書きに、住所・氏名・金額を書いておく方が親切でしょう。
 「御仏前」「御香資」等を持参する時は、ふくさに包んでいきます。
僧侶や施主に差し出す時は、相手から見て表書きが読める方向にして、差し出します。
 御本尊である阿弥陀如来さまにお供えする時は、お参りするもの(自分)から見て、表書きが読める方向にして置きます。
 
                                                      朋友 浄土真宗入門のてびきより
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  〈仏事に出席し施主に渡す金封〉
   表   書
  御 仏 前
  御 香 典
  御 香 資
  御 香 儀
 法要・行事の種類
  通夜式
  葬儀式
  満中陰法要
  百ヶ日法要
 そ の 他
  黒白の水引
  銀色の水引
※御仏前が一般的です。御霊前、御悔
などはふさわしくない
   表   書
  御 仏 前
  御 香 資
  御   供
 法要・行事の種類
  年回法要
  (一周忌・三回忌などの法事

 そ の 他
  黄白の水引
※当寺では表書は御仏前・御供が多いようです

   表   書
  御 仏 前
  御   供
  御 香 資
 法要・行事の種類
  五十回忌
  百回忌

 そ の 他
  紅白の水引
※特に決まっていないので黄白でもかまいません

   表   書
  入仏御祝
  御 仏 前
  御   供
  御   祝
 法要・行事の種類
  入仏法要
   (仏壇を購入して御本尊を迎える)
  建碑法要
   (墓の建立)
 そ の 他
  紅白の水引
  (熨斗なし)


   表   書
  御   祝
  御 仏 前
  
 法要・行事の種類
  仏前結婚式
  初参式
※初参式は新しいいのちをめぐまれたよろこびをご縁として
 阿弥陀さまの前で感謝の気持ちから行う儀式
 そ の 他
  紅白の水引
  (熨斗なし)
※御祝が一般的です。御祝の右肩に
 御結婚、初参式と記載してもよい


〈お寺や住職(僧侶)への金封〉

   表   書
  御布施
※僧侶が複数人の場合、
御布施の右肩に導師・副導師と記載する
 法要・行事の種類
  通夜式
  葬儀式
  中陰法要
  百か日法要
 そ の 他
  黒白の水引
  銀色の水引
※御経料・回向料・供養料などは書かない
 表書は「御布施」と書きましょう。

   表   書
  御布施



 法要・行事の種類
  年回法要
※年回法要は
一周忌、十三回忌などの法要

 そ の 他
  黄白の水引
※当寺では五十回忌からは紅白の水引、
 ロウソクは二十五回忌から赤色

   表   書
  御布施



 法要・行事の種類
  月忌参り
  納骨法要
  彼岸・お盆参り
  その他
 そ の 他
  黄白の水引
  白無地の封筒


   表   書
  御膳料


 法要・行事の種類
  葬儀式
  年回法要

 そ の 他
  白無地の封筒
  水引無し
※僧侶がお斎、食事に出席できない場合に包みます。
   表   書
  御車代


 法要・行事の種類
  葬儀式
  年回法要
  その他
 そ の 他
  白無地の封筒
  水引無し
※遠方から来ていただく場合に包みます。
   表   書
  御 懇 志
  永代経懇志
  御 供

 法要・行事の種類
  永代経法要
※お寺で毎年行われる永代経法要に参拝される場合

 そ の 他
  紅白の水引
  (熨斗なし)
※内陣の荘厳は赤のロウソクを使用。
表書の右肩に法名を記載しない。
   表   書
  永代経懇志
  御布施 

 
 法要・行事の種類
  永代経法要
※個別に行う永代経の場合。
お寺に永代経を上げる(寄進)場合、
表書は永代経懇志・御懇志と記載する
 そ の 他
  黄白の水引
  (熨斗なし)
※表書の右肩に法名を記載。

   表   書
  御懇志
  報恩講志  
  御 供
 法要・行事の種類
  御正忌報恩講
※お寺で毎年行われる報恩講に参拝される場合
 そ の 他
  紅白の水引
  (熨斗なし)
※内陣のロウソクは赤色を使用。
   表   書
  御布施



 法要・行事の種類
  入仏法要
  建碑法要
  仏前結婚式
  その他
 そ の 他
  紅白の水引 (熨斗なし)
※入仏法要(御本尊を迎えいれる法要)
建碑法要(新しく墓を建立し御本尊を迎えいれる法要)
表書の右肩に法要名を記載してもよい

   表   書
  御布施



 法要行事の種類
  遷座法要
  遷仏法要


 そ の 他
  黄白の水引
※遷座法要、遷仏法要は
お仏壇やお墓の御本尊を移動する時の法要
表書の右肩に法要名を記載してもよい