如来の興世(こうせ)にあひがたく
諸仏の経道(きょうどう)ききがたし
菩薩の勝法(しょうほう)きくことも
無量光(むりょうこう)にもまれらなり


【現代語訳】
如来がこの世にお生まれになったときに生まれあわせ、如来を拝見申しあげることは容易なことではない。
諸仏のお説きになる教えも、なかなか聞けるものではない。
菩薩のための勝れた教えである大乗の教えを聞いて修行することも、
なかなかできるものではない。
これらのことは、無量光の時間を経ても遇うことが難しいことである。
その遇いがたいことに遇わせていただいているのである。

【語  釈】
如来の興世  仏がこの世にお生まれになる時代ということ。
諸仏の経道ききがたし  総じて仏教、教法に遇いがたいこと。古写本の左訓に
                「よろずのほとけのおしえにもあひがたしとなり」とある。
菩薩の勝法  大乗の菩薩の修行する種々の教え。
まれらなり   まれであること。「まれら」の「ら」は、特に意味のない語。